言葉を選び、順番を変え、タイミングを計る。
それでも伝わらないことがあります。
言っていることは間違っていないはずなのに、相手が動かない。
中村天風氏は『運命を拓く』の中で、潜在意識についてこう書いています。
なお特に潜在意識について記憶すべき重大なる真理は、潜在意識こそは、肉体の建設者で、また広い意味においての人生の建設者であるということである。
いい換えると、創造の働きを司る心であるということである。(中村天風『運命を拓く』より)
印象的なのは、肉体の建設者という言葉でした。
潜在意識はただ思うだけではなく、人生を建設する力があると言っているのです。
見えないものが、見えている現実を作っている。
道場で言われることも、実はよく似ています。
合気道の技は、触れているところでかけているのではない
手首を持たれて、手首を動かしても効かない
道場では、見えない気のつながりを感じます。
そのつながりがあって、はじめて技ができます。
つまり、相手とのつながりを軸にして力が伝わり、技がかかります。
はじめのころは、そうは思えませんでした。
手首を持たれたら、持たれた手首をどうにかしようとする。
腕を掴まれたら、腕の力で動かそうとしていました。
触れているところが、技をかける場所だと思っていたからです。
でも、そこをどれだけ器用に動かしても、相手は動きません。
触れていなくても、つながっている
つながりは、接触があるかどうかと関係がない
道場で教わったことで、いまも不思議に思っていることがあります。
距離があって触れていなくても、気はつながっている、ということです。
触れたからつながるのでも、離れたから切れるのでもない、ということです。
だとすれば、つながりは接触面から生まれているのではありません。
触れているところは、つながりが結果として現れる場所にすぎません。
だから、そこを操作しても何も変わらないのです。
そして、そのつながりがあるからこそ、技が作られるのです。
伝わらないとき、私たちは「接触面」をいじっている
現実を建設しているのは、見えない側のつながり
言葉を選び直しても相手に伝わらないとき。
それは、合気道でいう「持たれた手首(接触面)」だけを、器用に動かそうとしている状態です。
見えないつながりが切れていれば、表面の言葉をいくら変えても相手は動きません。
天風氏が言うように、現実を建設しているのは、表面のテクニックではなく、見えない側の心だからです。
今日の稽古

うまく伝わらず、言葉のテクニックで相手をわからせようとしていないか。
そんなときは、こう自分に言い聞かせる。
「接触面ではなく、相手の心とつながりを持っているか」と。
今日も私は、つながりを切らさない稽古を実践する。
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