指示を出せば、部下はちゃんとこなしてくれる。
だから、うまくいっていると思っている。
でも部下の中では、「それ、何のために?」という疑問がたまっているかもしれません。
こなしてくれているうちは、上司はそれに気づけません。
稲盛和夫氏は『京セラフィロソフィ』で、利己の心で判断すると誰の協力も得られず、視野も狭くなる。
利他の心で判断すると、まわりの人みんなが協力してくれる、と言います。
嫌われる上司と協力される上司の違いは、能力ではありません。
判断の基準が、自分にあるか、相手にあるかです。
部下の側から見て、意味のある仕事を渡す。
それが、協力される上司の判断です。
合気道の「受け」と、部下として受けた指示の経験から書きます。
稲盛和夫「まわりの人みんなが協力してくれます」
私たちの心には「自分だけがよければいい」と考える利己の心と、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があります。利己の心で判断すると、自分のことしか考えていないので、誰の協力も得られません。自分中心ですから視野も狭くなり、間違った判断をしてしまいます。
一方、利他の心で判断すると「人によかれ」という心ですから、まわりの人みんなが協力してくれます。また視野も広くなるので、正しい判断ができるのです。
(稲盛和夫『京セラフィロソフィ』より)
部下に嫌われる上司の特徴を調べると、いくつも出てきます。その多くは、判断の基準が自分にあるところから出てきます。
受けは、相手のための役

合気道の稽古は、受けと取りを交互に交代しながら進めます。
受けは、技をかけられる側。いわば、やられ役です。
技をかけるのは面白い。うまくいけば、うれしい。
受けは、相手が技を身につけるためにやります。相手が試行錯誤できるように、受けをとる。
ところが、受けをしているからこそ、その技のポイントがよく分かります。
お互いに学び合えるのが、合気道です。
相手のためが、結局は自分のためになる。
それが、稽古のたびに体感できます。
意味を感じない仕事ほど、辛いことはない

部下は、上司の判断の基準がどこにあるのかを、渡される仕事の中身で感じ取っています。
上司が、上の指示しか見ていないように感じたときがありました。
下りてくる指示が、次々に増えていく。
何のために?それって必要?と疑問がわきます。
聞いてみると、返ってくるのは「上が求めているから、仕方がない」。
大企業ではよくあることです。
こうなると、上の思いつきですら、部下を疲弊させる仕事になります。
仕事はどんどん増えていきます。
大企業のすごいところは、それでも、ちゃんとこなす部下が多いことです。
でも、意味を感じない仕事ほど、辛いことはありません。
こなしてくれているから、上司は協力してもらえていると思う。
けれど、こなしていることと、協力していることは、同じではありません。
協力される上司は、「何のため」を添える
協力される上司は、指示と一緒に、何のための仕事かを渡しています。
上からの指示を下ろすときこそ、部下の側から一度見てみる。
何のための仕事かを、自分の言葉で一言添える。
本当に必要かを、自分でも問う。
意味が分かれば、同じ仕事でも、部下はこなすのではなく、協力してくれるようになります。
今日の稽古

指示を出す前に、こう自分に問いかける。
「これは、誰のための判断か」と。
今日も私は、相手のために受けをとる稽古を続ける。
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