復職したくない、でも退職も怖い。休職中に知ってほしい「三つ目の選択肢」

復職 就労移行支援で悩みから解放された女性

「復職したくない。もう、いっそ退職したい」

休職中に、そう思い詰めていませんか。

先に結論を書きます。
いま、退職を決めなくて大丈夫です。

そして——あなたの選択肢は「辞めるか、戻るか」の二つではありません。
三つ目があります。

なぜ、そう言い切れるのか。
理由は2つです。

  1. 休職中の人が「決断を保留したまま」通える仕組みが、制度として実在するから
  2. 心が弱っているときには、重大な決断はしないほうがよいから

私は転職3ヶ月で心身を壊し、2ヶ月休職しました。
休み始めた頃は「こんな会社、絶対に無理だ」と感じていました。

でも時間が経つと、その気持ちは静かに、少しずつ薄れていきました。
あのとき勢いで辞めていたら、と思うことがあります。

当時の私は、三つ目の選択肢を知りませんでした。

「辞めるか、戻るか」しか持っておらず、消去法で元の会社に戻りました。
退職するかどうかを決めるのは、三つ目の選択肢を知ってからでも遅くありません。

この記事では、その中身を、条件も費用も隠さずに整理します。

目次

「復職したくない」は、正当な感情です

休職中、復職に悩む

恐怖は、休職中には消えない

私の場合、復職への恐怖は休職期間中、一度も消えませんでした。

好奇の目で見られるのではないか。
「投げ出した奴が戻ってきた」と思われるのではないか。
メンタル不調で休んだというレッテルが、一生ついて回るのではないか。

回復するにつれて薄れる、ということはありませんでした。
むしろ復職が近づくほど、重くなりました。

「甘え」ではない

戻りたくないと感じる自分を、責めていませんか。

詳しくは別の記事に書きましたが、ここではひとつだけ。
手を抜いていた人は、壊れません。
壊れるのは、気を込め続けた人だけです。

「復職したくない」は甘えじゃない。休職した大手企業管理職が書く、罪悪感の正体

ただし、「復職したくない」は正当な感情ですが、それを「だから退職する」に直結させるのは、いまは危ない。

理由を次に書きます。

なぜ、いま退職を決めてはいけないのか

判断を保留

弱っている時期の決断は、あとで変わる

「休職中に重大な決断をしてはいけない」——よく言われることです。

私も当時、なぜかそれを知っていました。
そしてその考えは正しいのだろう、という直感がありました。

だから辞める・転職するという大きな動きは、ひとまず眠らせて、静かにしておきました。

実際、私の気持ちも変わった

休み始めた頃は「こんなひどい会社は辞めるべきだ」と強く感じていました。
ところが時間をおくと、それは少しずつ薄れ、「一度は戻ってみてもいいかもしれない」と思えるようになりました。

どちらが本当の気持ちだったのか、今も分かりません。
ただ、あの最初の勢いで辞表を出していたら、今の私はいないとは思います。

判断材料が、まだ足りない

当時の私はこう考えていました。

「転職したばかりの人間が、メンタルを壊して、その理由で転職活動をしても採用されないのではないか」。

だから、まずは元の会社に戻るしかない。
そのくらいの比較対象しか、持っていませんでした。

いま振り返れば、あれは選択ではなく消去法です。
選べるだけの材料が、手元になかったのです。

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「辞めるか戻るか」の間にある、三つ目の選択肢

就労移行支援

決断を保留したまま通える「緩衝地帯」

三つ目とは、リワークや就労移行支援と呼ばれる仕組みです。

いちばん大事なのは、通っている間、辞めるか戻るかを決めなくていいこと
決断を眠らせたまま、前に進める。
あなたが今いる二択の外側に、居られる場所がある。

私はこれを、緩衝地帯のようなものだと思っています。

通って、何をするのか

「そういう場所がある」と言われても、何をするのか分からないと不安ですよね。
おおまかには、以下のようなことをします。

  • 決まった時間に通うことで、生活リズムを戻す
  • 自分の症状やストレスの傾向を理解し、対処法を学ぶ(認知行動療法など)
  • 人と過ごす時間に、少しずつ慣れる
  • 模擬的な作業や訓練で、働く感覚を取り戻す

いきなり本番の職場に戻るのではなく、その手前に段階を置く。
それがこの仕組みの本質です。

当時の私は、その存在を知らなかった

同じ会社に戻るしか道がないと思い込み、その恐怖にずっと囚われていました。
もし知っていたら、あの2ヶ月間、あれほど追い詰められずに済んだのかもしれません。

リワークと就労移行支援の違い

似た言葉ですが、目的が違います。
ここを混同すると選び方を間違えます。

主な目的主な運営元
リワーク元の職場への復職地域障害者職業センター、医療機関など
就労移行支援就職・転職(次の働き方も視野)民間の福祉サービス事業所

※就労移行支援事業所の中には、休職中の方が復職に向けたリワーク目的で利用できるところもあります。

どちらを選ぶかは、「今の会社に戻りたいのか」「別の道も考えたいのか」で決まります。

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費用は、いくらかかるのか

お金の心配は当然です。
正直に書きます。

  • 地域障害者職業センターのリワーク:無料(公的機関・労働保険が適用されるため)
  • 医療機関のリワーク:保険適用(原則3割。自立支援医療が使えれば1割負担)
  • 就労移行支援:前年度の”世帯”収入により3段階(無料 / 月額 9,300円 / 月額 37,200円)

就労移行支援については、公式案内に「利用者の方の多くは、無料で通所されています」と記載されています。
ただし判定するのは自治体です。自分がどこに当たるかは、相談してみないと分かりません。

休職中でも、利用できるのか

就労移行支援で学ぶ女性

主治医・会社・自治体の確認が要る

就労移行支援を休職中に利用する場合、主治医・会社・自治体の確認が必要です。
自治体によって運用が異なるため、「誰でも必ず使える」とは言えません。

なお、在職中(アルバイト・パートを含む)は、原則として利用できません。
個別の事情により自治体が判断する場合はありますが、基本は休職中か離職中が対象です。

「会社に内緒で」は難しい

正直にお伝えします。
会社の理解が前提になるため、黙って利用することは基本的にできません。

重いと感じる方もいると思います。
私も、当時なら怯んだはずです。

ただし、見学と相談に許可は要らない

まだ何も決めていない段階で、話を聞きに行くこと。
これには誰の許可も必要ありません。

使うかどうかは、聞いてから考えれば十分です。

私が、その場所を必要としていた理由

一歩踏み出す

いきなり本番に戻らなくていい

私は復職の初日から、フルタイムでした。
準備段階も、練習もありませんでした。

少し話は逸れますが、私が合気道を始めたのは、休職からずっとあとのことです。
復職して、さらに時間が経ってからでした。

だから当時は知りませんでしたが、稽古を通していま思うことがあります。

合気道の技は美しく、魅力的です。
でもいきなり技を掛け合うことはありません。

同じ型を何百回、何千回と繰り返し、一つずつ動きを分解して、ようやく流れるような技をかけることができるようになります。
しかし当然ですが、まずは受け身ができることが前提です。

受け身ができない人に技をかけることほど危険なことはありませんし、技をかけてはいけません。
しっかりと身を守る動作を習得して初めて、技の稽古に進むことができるのです。

働くことにも、その手前の場所があってよかったはずです。
就労移行支援には「週3日から通所を開始する」といった段階的な調整ができる事業所もあります。

回復しているかは、自分では分からない

休職中の私は、ずっと笑うことができませんでした。
そのことに自分では気づいていませんでした。

後半になって少し笑えるようになったと気づいたのは、家族でした。

異変に最初に気づいたのも家族。
回復に気づいたのも家族。

壊れるときも、治るときも、先に気づくのは他人なのだと思います。
第三者の目が入る場所には、そういう意味もあります。

週1回でも、人生にリズムが生まれる

合気道を始めてから実感していることです。
週に1回でも通う場所があるだけで、人生にリズムが生まれます。

休職中の私に決定的に欠けていたのは、これでした。

何もしない。
何もできない。
自由である。
孤独である。

それが、いちばんつらいことでした。

それでも、行くのが怖いあなたへ

行動を起こすのが怖い男性

私も、たぶん動けなかった

もし当時こういう場所を知っていたら、一度は相談に行ったと思います。

でも正直に言えば——そうはいっても、怖かったはずです。

当時の私は、何をするにも恐怖に支配されていました。
人と会うことも、電話をかけることも。

一人で行かなくていい

家族に付き添ってもらう。
主治医に「こういう場所があるらしいのですが」と聞いてみる。

そうやって、ちょっとだけ前に進めればいい。
一人で決めて、一人で申し込んで、一人で行く必要はありません。

見学と相談に、許可は要らない

ここで、ひとつの選択肢を紹介します。
うつ症状のある方に特化した就労移行支援です。

【先に、正直な条件をお伝えします】

  • 通所型なので、通える場所に事業所があることが前提です(秋葉原・横浜・名古屋・梅田)。
  • 利用には主治医との相談が必要です。
  • 私自身は利用していません。体験談としては語れません。
  • 公開されている数字では、就職後の職場定着率93%(2023年就職者の半年後)とされています。

そのうえで、当てはまる方へ。

繰り返しますが、
見学と相談は無料で、誰の許可も要りません。
その場で何かを決める必要もありません。

「外にも道がある」と知るだけで、心の逃げ場ができます。

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最後に——「気になった」ことの意味

一歩踏み出す勇気

何にも関心が持てないのが、いちばんつらい

休職中に知ったことがあります。
人間にとって最も苦しいことのひとつは、何に対しても興味が湧かなくなることです。

興味が動くのは、回復の兆候

逆に言えば、何かしら興味が動くということは、それだけで回復に向かっている証拠です。

ここまで読んでくださったということは、あなたの中で何かが動いたということです。
それは、あなたが思っているより大きなことだと思います。

いまは、知っておくだけでいい

動けない時期は、動かないのが正解です。
私も2ヶ月、ほとんど何もできませんでした。

今すぐ何かをしなくて構いません。
「退職しなくても、三つ目の選択肢がある」ということだけ、頭の隅に置いておいてください。

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あなたが今日を生きていること。
それだけで、十分です。

【合わせて読みたい】 ▶「復職が怖い」——休職した大手企業管理職の、2ヶ月の記録

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この記事を書いた人

合気道のまさ|合気道三段

人生のどん底から私を救ったのは、名著を「稽古」のように読み返す習慣と、合気道でした。

このブログでは、名著の知恵を合気道の身体感覚で読み解き、しなやかに生きる「型」をお届けします。

かつての私のようなあなたを、心から応援しています。

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