自分を知らないと、相手も測れない。松下幸之助「己を知るのは、もっとむつかしい」

己を知る

相手のことばかり調べていることがあります。

競合はどう動いているか。
あの人はどこまでできるのか。

松下幸之助氏は『道をひらく』の中で、こう書いています。

敵を知ることもむつかしいけれども、己を知るということは、もっとむつかしい。
しかし、敵を知らなければ、勝負は定まらないとしても、己を知らなかったら、戦いには必ず敗れる。連戦連敗、その敗因はわが身にありである。

(松下幸之助『道をひらく』より)

松下氏は、敵を知らない場合と、己を知らない場合で、結果が違うといいます。

前者は「勝負は定まらない」。
後者は必ず敗れる

私は合気道を15年以上続けていますが、道場でも同じでした。

目次

己を知らないほうが、重い

己を知らないと負ける

敵を知らなければ引き分け、己を知らなければ敗北

この一節は、二つを並べて置いています。

敵を知らなければ、勝負は定まらない。
己を知らなかったら、必ず敗れる。

どちらも良くありません。
ただ、重さが違います。

相手が分からないだけなら、まだ決着の行方がわからない状態です。
自分が分からなければ、そこで終わります。

そして「連戦連敗、その敗因はわが身にあり」と続きます。
負け続けているとき、原因は外ではなく自分の側にあるということです。

自分の実力を知らないと、相手の実力も測れない

比較する基準が、自分しかない

合気道では、己の実力をよく弁(わきま)えることから始まります。

自分の実力を知らないままでは、相手の実力を推し量ることはできません。
比較する基準を持っていないからです。

相手が速いのか、自分が遅いのか。
相手が強いのか、自分が弱いのか。

基準がなければ、その差が分かりません。

分からないまま組めば、間合いを読み違えます。
勝負の前に、勝負がついていると言われるのは、たぶんここです。

松下氏が「己を知るほうがむつかしい」と書いたのは、順番の話でもあると思います。

己を知るのが先で、敵が後。
逆にはないのです。

強さを追い続けた先に、勝ち負けのない世界がある

戦わずして勝つ。だから周囲には勝ち負けが見えない

合気道は、力の差を超えていく武道だと教わりました。

勝ち負けすら超えていきます。

戦わずして勝つ
争うことなく勝つ。

そうなると、周りには勝ち負けが見えません。
勝ち負けが存在していないからです。

そう言われても、はじめは実感がありませんでした。

そこに行くには、修練が要ります。
自己練磨が要ります。

技を磨き、自らを高め、人としての人格を高めていく。
あるところまでは強さを追求します。

弱いまま「争わない」と言っても、それはただ避けているだけです。
強さを追い続けた先に、勝ち負けのない世界が見えてきます。

今日の稽古

今日の稽古

自分がどこにいるのかを知らないまま相手を測っても、差は出てこない。
こちらに基準がないからだ。

そして自分を測るのは、気分のいい作業ではない。
できていないところが見えるからだ。

それでも、そこから始めるしかない。
そうしないと連戦連敗、その敗因はわが身にあり、となる。

勝ち負けのない場所は、その先にある。

相手のことばかり見てしまうとき、こう自分に言い聞かせる。
「先に測るのは、自分のほうだ」と。

今日も私は、己を知る稽古を実践する。

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▶︎ 松下幸之助『道をひらく』は何がすごいのか。合気道に学ぶ、失敗より怖い「くふうのなさ」

■ この記事を書くにあたって読み返した本

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この記事を書いた人

合気道のまさ|合気道三段

人生のどん底から私を救ったのは、名著を「稽古」のように読み返す習慣と、合気道でした。

このブログでは、名著の知恵を合気道の身体感覚で読み解き、しなやかに生きる「型」をお届けします。

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