「なぜあの人は、いつも威圧的な態度をとるのか」
「なぜ、自分の手柄ばかりを主張するのか」
職場を見渡すと、不必要に自分を大きく見せようとしたり、周囲に対して「俺が、俺が」と威張ったりする人が必ずいるものです。
私たちは、そういう声の大きな人を「自信に満ちた強い人」だと錯覚することすらあります。
しかし、真理は逆です。
強さを誇示する行為の裏にあるのは、自信ではなく「不安」です。
本当に強い人は、決して自分を大きく見せようとはしません。
強くなるほどに深まっていく「謙虚さ」と「静かな自信」について、今日は紐解いていきます。
威張るのは、誇るものがないから
世界的企業の礎を築いた稲盛和夫氏は、これまで私が幾度となく読み返し、指針としてきた著書『京セラフィロソフィ』の中で、人の「謙虚さ」についてこう看破しています。
謙虚、つまり謙(へりくだ)ると言えば、何かみっともないような感じを抱かれる人もあるかもしれませんが、それは誤りです。人は、自分に誇るものが何もないからこそ威張り、ふんぞり返って自己顕示欲を満たそうとするものなのです。たとえ控えめに、謙虚に振る舞うことによって他人からばかにされても、それはばかにする人間が間違っているのです。
(稲盛和夫『京セラフィロソフィ』より)
自分に自信がないと、人はあらゆる手段を使って自分の心や立場を守ろうと必死になります。
これは人としての防衛本能でもあります。
不必要な威嚇やマウントで、自分を常に優位に置いておかないと不安で仕方がないのです。
稲盛氏の言う通り、ふんぞり返って威張っている人は、実は「自分の中には誇るものが何もない」と自ら告白しているのと同じなのです。
強くなるほど、争いから遠ざかっていく
不安だから、自分を大きく見せ、争う。
この防衛本能による悲しい連鎖を断ち切るために、私たちは心と身体を修行し、鍛え、磨くのです。
私自身、合気道の道場で長年稽古を積んできましたが、武道の目的は決して「腕っぷしを強くして、他者より優位に立つこと」ではありません。
そもそも合気道は、自分が一気に強くなって相手を蹴散らすような質(たち)の武道ではありません。
常に相手と交互に技を掛け合い、相手の動きから教わるという性質を持っています。
「俺が俺が」の精神ではなく、習得がきわめて難しいからこそ、謙虚にならざるを得ないのです。
地道に稽古を重ね、技ができるようになればなるほど、余計に自分の未熟さを知り、謙虚になっていく。
そうやって技とともに心を磨いていくと、どうなるか。
己の強さを誇示する必要がなくなり、自分から謙虚に振る舞えるようになります。
結果として、不要な争いが起きる土壌そのものが消えてしまうのです。
強くなるほど、争いから遠ざかっていく。
これが、武道が到達するひとつの真理です。
静かな自信が、心を平静にする
日々の仕事や生活においても、同じことが言えます。
——偉そうに書いていますが、私自身もまだまだです。どうしても忙しすぎる時には言葉が強めになり、きつい指示を出しそうになってしまいます。
管理職という立場は、虚勢の誘惑と隣り合わせです。
だからこそ、稽古のたびに自分の未熟さを突きつけてくる道場という場が、私にはありがたいのです。
自分の弱さや不安を隠すために、虚勢を張り、他人を攻撃する必要はありません。
やるべきことは、ただ愚直に目の前の仕事に向き合い、自分自身の内面(自分軸)を磨き続けることだけです。
本当に実力をつけ、心を磨き抜いた人の内側には、他人に誇示する必要のない「静かな自信」がみなぎってきます。
他人にどう思われるか、ばかにされないかという不安から解放され、ただ謙虚に生きる。
それこそが、争いのない「心の平静」と「幸福」を手に入れる、最も確実な道なのです。
今日の稽古
自信のなさから、不必要に自分を大きく見せようとしていないか。
虚勢を張る相手の奥にある”不安”まで、感じ取れているか。
自分の弱さを隠したくなった時、自分にこう語りかける。
「偉ぶるな。静かな自信を磨け」と。
今日も私は、自己顕示欲を手放し、謙虚に生きる稽古を実践する。
💡 「虚勢を張る人たちの攻撃に、もう耐えられない」と悩んでいる方へ
謙虚に生きることは、人としての理想です。しかし、稲盛氏が「ばかにする人間が間違っている」と説くように、世の中にはあなたの謙虚さにつけ込み、威圧的な態度で心を削ってくる人がいるのも事実です。
もし今、あなたがそんな環境で尊厳を傷つけられているなら、その理不尽な攻撃に耐え続ける必要はありません。
無意味な争いから離れ、あなたが静かな自信を持って働ける場所を探すために、プロの伴走者とキャリアを棚卸しするのも一つの手です。
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