もう働きたくない。
50代でそう思うのは、おかしなことではありません。
ただ、仕事そのものが嫌になっているとは限りません。
疲れているのは、いまの会社から評価されていないからかもしれない。人間関係なのかもしれない。
そして、その会社しか知らないから比較検討ができない。
先に結論を書きます。
いますぐに辞める必要はありません。一度だけ、外の基準を知ればいい。
それだけで、同じ場所にいても見える景色が変わります。
私は過去に転職経験があり、いまは大手企業で働く50代の管理職です。
この記事では、私が外を知ったことで何が変わったかを書きます。
単なる転職の勧めではありません。
疲れているのは、仕事の量だけではありません

量の疲れと、量ではない疲れは別のものです。
量だけが原因なら、こなせば回復します。
やり切ったときには、少し軽くなっているのが分かります。
充実感もあります。
戻らない疲れがあります。
評価が上がらない。会社に認めてもらえていない。
どれも業務量とは関係がないのに、確実に精神的に削られていきます。
この疲れは、休んでも戻りません。
休みが明けても疲れが取れない。いや、日曜の夜から疲れが湧いて出てくる。
そして厄介なのは、原因が自分の中にあるのか、外にあるのかが分からないことです。
自分の能力が足りないからなのか、置かれた場所の問題なのか。それが分からないまま、ただ消耗していきます。
会社を辞めれば解決するように見えます。
ただ、判断の基準が社内にしかないまま動くと、どの場所にいても同じことが起きるかもしれません。
「外の人と仕事をしている」ことと、「外を知っている」ことは違います

社外の人と会う仕事をしていても、外を知っているとは限りません。
取引先、協力会社、同じ業界の集まり。
社外の人と接する機会は、たくさんあります。
ただ、その人たちは、いつもの外の人たちです。
毎年同じ顔ぶれ。
自分の会社の名前で会っている。
関係性も決まっている。
外に出るというのは、自分の会社の看板が効かない場所で、その人たちと渡り合えるかどうかを試されることです。
私がそれを知ったのは、社外の人と仕事をする機会が続いた時期でした。
会社の名前ではなく、自分が何を言って、何を実現できるかで見られる。外で通用するというのは、こういうことかと思いました。
そこで初めて、自分が何をできて、何をできないのかが分かりました。
社内にいるあいだは、一度も分かりませんでした。
外を知らないのは、本人のせいではありません
その経験ができたのは、当時の上司に恵まれたからだと思っています。
外に出る仕事、特に海外に出る仕事を任されました。
同じ会社にいても、その機会が回ってこない人はたくさんいます。
社内で完結する担当に置かれれば、外を知らないまま時が過ぎます。
どの担当に置かれるかは、自分では選べません。
だから、外を知らないことを自分のせいにしなくていいと思っています。
ただ、知らないままだと、一つだけ気にかけておくことがあります。
いまの会社で見えていることが、自分のすべてになります。
比べる場所がないからです。
「もう働きたくない」と思うとき、本当に嫌になっているのは仕事ではなく、その一つしかない物差しで測っているからかもしれません。
エージェントに言われたことより、紹介された会社で分かりました

外の基準を最初に知ったのは、エージェントと話したときでした。
自分では、大した経験をしてきたとは思っていませんでした。
社内では当たり前のことをやってきただけです。
エージェントの反応は、違いました。
ただ、言葉で褒められたというのはあまり記憶に残っていません。
はっきり分かったのは、紹介された会社の顔ぶれを見たときです。
規模が大きい。同じ業界の、名前を知っている一流の会社ばかり。
年収も大幅に上がる提示でした。
こういう会社が自分を求めているのか、と思いました。
社内では当たり前と思っていた経験が、外では売り込める材料だった。
社内の評価とは、まったく別の基準がそこにありました。
エージェントが紹介する会社は、その人が本気でどう評価しているかが出てきます。
転職したあとのほうが、危ないことがあります
先に注意点を書いておきます。
危ないのは、転職そのものより、転職したあとです。
私は実際に転職しました。
この選択自体は、いまも間違っていなかったと思っています。
ただ、最初の働き方が異常でした。
時間外が月200時間を超えたことで、数ヶ月で倒れました。
その会社自体の体質もありますし、新しい場所で早く認められようとして、一気にやりすぎたという面もあります。
誰にも頼らず、全部抱えました。
いま同じ状況になったら、あの働き方はしません。
倒れた経験があるぶん、力の入れどころが分かります。いまなら人に頼ることもできます。
新しい会社に移ること自体より、移ったあとにどういう働き方をするか。
そこも重要な視点です。
自信がなくても、調べることはできます

自信は要りません。調べることと、決めることは別だからです。
転職する自信がない。いまさら動けない。50代で受け入れてくれる会社があるとは思えない。
その感覚は、私にもあります。
ただ、調べるのは行動ですが、決断ではありません。
やるのは、これだけです。
自分がやってきたことを書き出す。人に見せる。どう見えるかを聞く。
それだけで、社内以外の物差しが一つ増えます。
使うかどうかは、あとで決めればいい。
正直に言うと、私はいま、どこかのエージェントに登録しているわけではありません。以前に一度、外の基準を知ったからです。
一度知っていれば、社内の評価だけで自分を測らずに済みます。
逆に言えば、一度も知らないままだと、いまの会社の評価が自分のすべてになります。
選択肢を増やすことと、選択肢を使うことは、別の話なのです。

腐りたいと思っている人は、いません

もう働きたくないと思う人が、本当に働きたくないわけではないと思っています。
諦めるしかない、と思っているだけかもしれません。
このまま定年まで、いまの評価のまま、いまの場所で終わる。
そう思うと、意欲を保つのが難しくなります。
そして意欲がなくなると、人は腐りはじめます。
人間、これが一番きつくて、つらいことです。
そして、大きな疲れや不安になります。
そもそも腐りたいと思っている人は、いません。
ただ、諦めるしかないと思い込むと、自らそこに近づいていきます。
外に選択肢があると知っているだけで、同じ場所にいても、見える景色が確実に変わります。
ここしかないと思っていたときとは、違う気持ちで働くことができます。
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