デール・カーネギー「他人の長所を考えてみる」。ただ、自分の長所には気づけない

部下の長所を見る上司

自分は、相手に何も返せていない。
そう感じることがあります。
教わってばかりで、助けられてばかりで、こちらから渡せるものが見当たりません。

デール・カーネギー氏は『人を動かす』の中で、こう書いています。

人間は例外なく他人から評価を受けたいと強く望んでいるのだ。この事実を、決して忘れてはならない。

(デール・カーネギー『人を動かす』より)

カーネギー氏が繰り返し使うのは、重要感という言葉です。
ただ、重要感を伝えようとして出てくるのは、たいていお世辞になります。
自分でも安っぽいとわかるから、結局言わずに終わります。

私は大手企業で管理職をしていて、合気道を15年以上続けています。
この記事では、なぜお世辞になってしまうのかを、カーネギー氏の言葉と、道場での経験から書いています。

読み終えるころには、言葉を探す前にやることがある、と気づいていただけるはずです。

結論を先にお伝えします。
「褒めよう」とするからお世辞になります。
相手の「できているところ」はすでにあるのに、こちらが見ていないだけなのです。

目次

「重要感」は、ただ褒めることではない

人が求めているのは、必要とされているという実感

人が求めているのは、褒め言葉そのものではありません。自分がここにいる意味があるという実感のほうです。カーネギー氏はそれを重要感と呼んでいます。

そう考えると、目の前の部下も同じだとわかります。
淡々と仕事をしているように見える人も、必要とされていると感じたくないわけではありません。表に出していないだけです。

だから、褒め言葉を探しても届きません。求められているのは、言葉ではないからです。

お世辞になるのは、相手を見ていないから

相手をよく見る

人は自分のことばかり考えている

『人を動かす』の中に、私が気に入っている一節があります。

人間は、何か問題があってそれに心を奪われた時以外は、たいてい、自分のことばかり考えて暮らしている。そこで、しばらく自分のことを考えるのをやめ、他人の長所を考えてみることにしてはどうだろう。他人の長所がわかれば、見えすいた安っぽいお世辞などは使わなくても済むようになるはずだ。

(デール・カーネギー『人を動かす』より)

自分のことばかり考えて暮らしている。
カーネギー氏は、それを責めていません。たいていそうだ、と事実として置いているだけです。

そのうえで、しばらくやめてみてはどうかと提案しています。

最後の一文が重要だと思います。
他人の長所がわかれば、お世辞は使わなくても済む。

お世辞が出てくるのは、言葉が下手だからではありません。
相手の長所を知らないから、言うことがなくて、それらしい言葉で埋めているだけです。

順番が逆でした。
言葉を探すのではなく、先に相手をよく見ることなのです。

教わってばかりだと思っていた

初心者の技には、忖度がない

合気道を始めたばかりの頃、高段者と稽古をするのが申し訳なく感じていました。

こちらは教わることばかりで、確実に上達します。
けれど相手にとっては、初心者に技を教えているだけの時間です。
自分の稽古にはならないだろうと思っていました。

続けているうちに、そうではなかったと気づきました。

合気道に慣れた人同士だと、お互いに無意識のうちに技を受けてしまう面があります。
流れを知っているから、身体が自然と合わせにいく。

そこには忖度があります。

初心者は違います。
合わせてくれません。

だから、技がどうかかりにくいのか、どこがぶつかるのかが、そのまま身体に返ってきます。
攻撃の仕方も予想がつかず、対応できる幅が広がります。

申し訳ないと思っていた側が、相手に稽古を渡していました。

できていないところだけを、言われなかった

高段者との稽古で、もうひとつ助けられていたことがあります。

指摘は当然あります。ここが違う、こう持つ、と直されます。ただ、それだけではありませんでした。 できているところも、一緒に伝えてくれました。

直すべき点は変わりません。それでも、できていないところだけを並べられるのとは、残るものが違います。落ち込むだけにはなりません。 だから続けられたのだと思います。

今日の稽古

今日の稽古

相手に渡せるものがない人は、たぶんいない。
長所は作るものではなく、すでにそこにあって、こちらが見ていなかっただけだ。

言葉を探そうとしたとき、こう自分に言い聞かせる。
「お世辞は要らない。ただ、事実をちゃんと見ろ」と。

今日も私は、自分のことばかり考えるのをやめて、相手の長所を見る稽古を続ける。

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この記事を書いた人

合気道のまさ|合気道三段

人生のどん底から私を救ったのは、名著を「稽古」のように読み返す習慣と、合気道でした。

このブログでは、名著の知恵を合気道の身体感覚で読み解き、しなやかに生きる「型」をお届けします。

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