心地よい相手だけを選ばない。中村天風と合気道に学ぶ「不偏愛」の稽古

仕事でもプライベートでも、私たちはつい「自分と相性の良い人」や「一緒にいて心地よい人」を選んで付き合おうとします。
逆に、厳しく接してくる人や、価値観の合わない苦手な人からは、できるだけ距離を置きたくなるものです。

しかし、自分の好きな相手、心地よい環境だけを選び取る生き方は、本当に自分を成長させてくれるのでしょうか。

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大宇宙の真理「不偏愛(ふへんあい)」

中村天風氏は、著書『真理のひびき』の中で、好き嫌いや理屈を超えてすべてを等しく愛する「不偏愛」の重要性を、次のように説いています。

いずれにしても不偏愛こそは、とりもなおさず、大宇宙の犯すべからざる絶対真理だということは、どんなときにも忘れてはいけない。心に銘記しておくべきことである。
(中村天風『真理のひびき』より)

不偏愛とは、理屈なしにすべてのものを愛すること。
それは、特定の誰かだけを特別扱いするのではなく、万物を等しく照らす「太陽のような愛」です。

天風氏はこの不偏愛こそが、私たちが心に銘記すべき絶対の真理であると言い切ります。

「心地よい相手」だけを選びたくなるエゴ

この「不偏愛」という境地は、合気道の道場においても、非常にリアルな自身の「エゴ」との闘いとして気づかされます。

合気道の稽古では、特定の相手とずっと組むのではなく、一つの技が終われば次々と相手を変えていきます。
その中で、正直に言えば「相性」のようなものを感じることがあります。

「この人は力が強くて、受けを取る時に痛いから少し避けておこう」
「この人の受けはとても柔らかくて、自分が上手くなったように気持ちよく技がかけられるから、ずっとこの人と稽古をしたい」

こうした感情が、ふと頭をよぎるのです。
しかし、心地よい相手、自分のエゴを満たしてくれる相手だけを選んでいては、本当の成長はありません。

相手を選ばないからこそ、本当の弱さが消える

苦手な相手を避けていては、自分の技の癖や、力みといった「本当の弱さ」をいつまでも克服することができません。
そのままでは、複数人からの攻撃である多人数掛けや、まったく予想外の攻撃をされた時に、とっさに捌けなくなってしまいます。

道場での稽古は、単なる技の反復ではなく、「相手を選り好みする自分の小さなエゴ」を手放す修練でもあります。

自分にとって都合の良い相手も、厳しい相手も、等しく同じ心で受け入れる。
どんな相手が目の前に立っても、太陽のように真っ直ぐに向き合い、調和を図る。

日々の稽古は、まさにこの「不偏愛」の心がけが試されている場なのです。

今日の稽古

苦手な人を避け、心地よい環境だけで満足しそうになった時、自分にこう語りかける。
「好き嫌いで相手を選ぶ、それこそが自分の弱さだ」と。

不偏愛。理屈を抜きにして、太陽のようにすべてを等しく受け入れること。
今日も私は、相手を選ばず、目の前に立つ人と真っ直ぐに向き合う稽古を実践する。


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この記事を書いた人

こんにちは。
合気道のまさです。

「本を読むだけで人生は変わる!」をモットーに名著を紹介しています。

私自身、稲盛和夫さんや中村天風さんなどの本を「稽古」のように繰り返し読んだことで、その思想や哲学を、頭だけでなく無意識のレベルで身につけることができました。

このブログでは、名著のエッセンスを、合気道の身体感覚を交えながらわかりやすく解説しています。

私と一緒に、人生を切り拓く稽古を始めませんか。

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