「いつか、もっと良い環境になれば幸せになれるのに」
私たちはつい、幸福が向こう側からやって来るかもしれないと勘違いしがちです。
しかし、ただ待っているだけで、本当の幸福が訪れるのでしょうか。
幸福は、自分の心が呼ぶもの
中村天風氏は、著書『運命を拓く』の中で、本当の幸福とは決して外から与えられるものではなく、自らの心が決定するものだと断言しています。
本当の幸福とは、自分の心が感じている、平安の状態をいうのだ。いくら心身統一法を何十年やっても、幸福は向うから飛び込んで来るのではない。自分の心が、幸福を呼ばなければ、幸福は来やしない。
だから、現在の生活の状態、境遇、環境、職業、何もかも一切のすべてを、心の底から本当に満足し、感謝して活きているとしたら、本当にその人は幸福なのである。
(中村天風『運命を拓く』より)
いくら心身を鍛えようと、幸福は向こうから飛び込んでくるものではありません。
自分の心が「幸福だ」と呼び寄せない限り、決してやって来ないのです。
今の境遇や環境のすべてに満足し、心の底から感謝する。
その積極的な心の状態こそが「本当の幸福」そのものであると天風氏は説きます。
「持たれる」のではなく「持たせる」
この「幸福(良い状態)は待つのではなく、自ら呼び寄せる」という真理は、合気道の護身の理合いと深く通じています。
合気道はよく「護身術」と言われます。
しかし、相手が攻撃してくるのを待ち、後手に回ってから身を守ろうとしても、実際には身を護るのは極めて困難であり、苦しいだけです。
安全を確保しようと受け身で待つのではなく、「攻める気持ち」があるからこそ、結果として身を守ることができます。
合気道では、相手に触れる前から自らの「気」を出し、その時点ですでに相手を上回っているのです。
気を先に合わせているからこそ、技がスムーズにかかる。
攻撃された後にようやく何かをやろうとしても、手遅れになります。
例えば、腕を持たれる時。
無防備な状態で相手に「持たれて」から動こうとすると、相手の力とぶつかり、非常にしんどい思いをします。
そうではなく、自ら気を出して相手を導き、自分の都合の良いところに「持たせる」のです。
自ら掴みにいく姿勢、気を出す。
それがあってこそ、主体的に相手を制することができます。
感謝という「積極の気」を出す
人生においても全く同じです。
環境や他人のせいにして、ただ受け身で「持たれる」人生は苦しいだけです。
そうではなく、自ら気を出す。
プラスの気、積極の気を出す。
今の環境に「感謝する」。
いま与えられているもので「足るを知る」。
すべてに「満足する」。
それは決して現状への妥協ではなく、人生に対して自ら積極の気を出し、主体的に生きる(持たせる)という極めて能動的な姿勢です。
その明るく力強い気が、本当の幸福を自ら呼び寄せるのです。
今日の稽古
幸福が向こうからやって来るのを、ただ受け身で待っていないか。
感謝や満足とは、自ら幸福を呼び寄せる「積極の気」である。
現状に不満を抱きそうになった時、自分にこう語りかける。
「自分から先に感謝の気を出そう」と。
「持たれる」のではなく「持たせる」主体的な生き方へ。
今日も私は、すべてに感謝し、自ら幸福を引き寄せる稽古を実践する。
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