私たちは日々、目の前の現実に追われ、ただ作業をこなすように生きてしまいがちです。
しかし、現実を変え、自分の望む状態を作り出すために本当に必要なのは、力任せの努力ではなく「はっきりと心に描く力」なのかもしれません。
想像力が、潜在意識を動かし現実を創る
中村天風氏は、著書『成功の実現』の中で、人間の潜在意識と想像力の関係について次のように説いています。
潜在意識は人間の生命を生かし、また守る貴重な役割を実行すると同時に、実在意識の思念するものを現実化するよう自然に努力をおこなう傾向がある。
だから、現在を生きがいのあるものにするには、心にほどこす技術、いわゆる想像力を応用して自分の念願、宿願をはっきりと心に描くことを絶え間なくやるという技術に完全に熟達なさい。上手になりなさい。
(中村天風『成功の実現』より)
潜在意識は、私たちが心の中で強く思い描いたものを、そのまま現実化しようと働く性質を持っています。
だからこそ、自分の理想や願いを「はっきりと心に描く」という技術に熟達しなければならないと、天風氏は語りかけます。
「足で呼吸する」気の流れを想像する稽古
この「想像力を応用して、実感に変える」という技術は、合気道の呼吸法(気の鍛錬)の中に具体的な形で存在しています。
合気道の準備運動のひとつに、特有の呼吸の鍛錬があります。
仰向けになって横たわり、静かに目を閉じます。
そして大きく深呼吸をするのですが、ただ息を吸うのではありません。
「右足の親指の付け根から、息を吸い込む」と想像するのです。
そこからだんだんと気が足を通って上がり、頭のてっぺんまで満ちていくのを感じる。
そして今度は、頭から背中、丹田を通って、「右足の踵(かかと)から息を吐き出す」ようにイメージします。
右が終われば、次は左足の親指から吸い上げ、左足の踵から突き出すように吐き出す。
これを静かに繰り返します。
心にはっきりと映し出したものは「実感」になる
物理的に考えれば、人間は鼻から息を吸って、口から息を吐き出しています。
足に呼吸器官などありません。
しかし、この気の流れを心にはっきりと映し出し、完全に想像して行うと、本当に「足で息をしている」という確かな感覚が生まれてきます。
想像を通じて身体の隅々に気を流し込むことで、最初は単なるイメージに過ぎなかったものが、やがてはっきりとした「気の流れを感じる」という実感へと変わるのです。
この身体を通した想像力の熟達こそが、いざ相手と組んだ時の技の効きや、人間関係における「呼吸(間合いや調和)」を自在にコントロールする土台となっていきます。
今日の稽古
ただ漫然と息をするのではなく、気の流れをはっきりと想像する。
「心に描いた鮮明なイメージは、やがて身体感覚を伴い、現実の力となる」
絶え間なく想像し、心に理想を描き出す技術に熟達する。
今日も私は、望む結果をはっきりと心に映し出し、それを実感に変える稽古を実践する。
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