「毎日チャットで連絡を取り合っているのに、チームの一体感がない」
「ルールはあるけど、どうも相手を信用しきれない」……。
効率を求め、テキストのやり取りやシステムだけで仕事が完結できる今の時代。
しかし、言葉やルールがどれだけ積み上がっても、どこか「腹を割って話せていない」という息苦しさを感じていないでしょうか。
今日は、稲盛和夫氏が説く「信頼関係のベース」と、合気道における「言葉を超えたコミュニケーション」から、理屈ではなく心でつながる、本物の信頼関係の築き方についてお話しします。
稲盛和夫が説く「信頼関係のベース」
稲盛和夫氏は、著書『京セラフィロソフィ』の中で、ビジネスの根幹である信頼関係についてこう語っています。
信頼関係というのは、約束事や取り決めで築けるものではありません。そんなことではなく、あの人と私は話をした、あの人とはこの前お酒を飲んだ、あの人は私を知っている、私もあの人を知っている、そういう単純なことが信頼関係を築くベースなのです。
(稲盛和夫『京セラフィロソフィ』より)
私たちはつい、ルールの取り決め、メールやチャットのやりとりだけで信頼関係は築けていると思いがちです。しかし稲盛氏は、信頼とはそんな無機質なものではないと言います。
「あの人とは、一緒に話をした」
「あの人とは、一緒にお酒を飲んだ」
人間と人間が、同じ時間と空間を共有し、生身の感情を交わし合う。そんな泥臭くも単純な関わり合いこそが、信頼の土台(ベース)になるのです。
合気道の身体感覚で「相手がわかる」
このことは合気道において、より直接的な身体感覚として実感します。
合気道の稽古では、初対面の人でも言葉を交わす前に、まずは互いに手首を掴み合い、技を掛け合うことがあります。不思議なことに、手の持ち方、打ち方、力の強さ、気の方向……そういった「触れた感覚」を通して、言葉を交わさずとも相手がどんな人なのかがはっきりと伝わってくるのです。
ぶつかりながらも力任せに進めようとする人なのか、迷いながら恐る恐る試している人なのか。あるいは、どれだけ真摯に稽古と向き合い、技を身につけてきたのか。
相手の「気」に直接触れることで、言葉での自己紹介よりも、ずっと深く相手の内面を知ることができます。
稽古の相手をして、ともに汗を流し、身体が触れ合う。そんな単純な身体の対話から、相手を深く理解していく。
そして、「お互いに怪我をさせない」「安全に受け身が取れるように導く」という、生身の信頼関係を築き上げているのです。
理屈ではなく、心と身体で知る
稲盛氏の「お酒を飲んだ」という交流も、合気道の「稽古相手をする」という身体的な対話も、本質は同じです。
メールの文面や、肩書きなどの情報だけで相手を理解したつもりにならないこと。
理屈やルールだけで相手を知ったつもりになるのではなく、実際に顔を合わせ、交流し、気を合わせる。
効率化の時代だからこそ、この「単純な生身の関わり」によって築く信頼関係の重要性が高まっているのです。
今日の稽古
人に会うことを億劫(おっくう)に感じてきたら、こう自分に言い聞かせる。
「たまには生身のコミュニケーションも大切だ」と。
顔を合わせ、相手の「気」を直接感じ取る。
今日も、理屈を超え、心と身体で相手と関わる稽古を実践する。
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