新しいプロジェクトを任されたとき。
高い目標をセットされてしまったとき。
「いまの自分の実力では、到底ムリだ」と、最初から諦めてしまいそうになることはありませんか。
現在持っている能力だけを基準にしてしまうと、私たちはそこから一歩も前に進めなくなってしまいます。
自分の能力を「未来進行形」でとらえる
稲盛和夫氏は、著書『京セラフィロソフィ』の中で、不可能に思えるような難題に直面した時の心構えについて、こう語っています。
試作品ができ上がるまでは毎日が綱渡りみたいなもので、文字どおり命がけで難しい実験を繰り返し、議論を繰り返しました。そのときに唯一信じられたのは、「自分の能力を未来進行形でとらえる」ということだけでした。何しろ、現在の能力ではできるはずがないとはっきりとわかっているのですから、その言葉だけが、ただ一本の命綱だったわけです。
(稲盛和夫『京セラフィロソフィ』より)
今の能力ではできないと、はっきりとわかっている。
それでも「未来の自分であれば必ずできるようになっている」と信じ抜くこと。
この「能力を未来進行形でとらえる」という考え方だけが、困難な状況を乗り越えるための命綱だったのだと稲盛氏は説きます。
審査稽古が教えてくれる「未来の自分」
この「今はできなくても、未来にはできる」と信じて挑む過程は、合気道の「審査稽古」の心境と重なります。
審査に向けた稽古が始まると、新たな技を学ぶワクワク感と同時に「果たして自分にできるのだろうか」という強い不安に襲われます。
半年後の審査日は決まっているのに、習得すべきことは杖(じょう)や木剣(ぼっけん)、体術など多岐にわたります。
その日の稽古が終わった時は「よし、掴めた」と思っても、次回の稽古ではまったく身体が動かなくなっている。
そんなもどかしい行ったり来たりを何度も繰り返します。
審査日が近づくにつれて焦る気持ちも生まれますが、それでも「絶対にそれまでにできるようになる」と未来の自分を信じて、ひたすら稽古を繰り返すしかありません。
プレッシャーが「できる自分」を創り出す
道場を離れても、頭の中でシミュレーションを繰り返します。
何度も思い描くうちに、だんだんと「できるイメージ」が明確になり、頭の中で「できている自分」が見えてくるようになります。
審査という逃げられないプレッシャーがあるからこそ、目標が明確になり、一つずつ階段をのぼるように確かな技量が身についていくのです。
そして、それが本物の自信へと変わります。
「今の自分にはできなくても、未来の自分にはできるようになっている」
審査という過程を通じてこの経験を積むことで、私たちは初めて、自分の限界を取り払い「未来を信じる力」を手にすることができるのです。
今日の稽古
いまの自分の能力だけで、未来の可能性を切り捨てていないか。
「今の自分」には無理でも、「未来の自分」なら必ずできる。
高い壁を前にして心が折れそうな時、自分にこう語りかける。
「自分の能力を、未来進行形でとらえよう」と。
審査のプレッシャーを成長の糧とするように。
今日も私は、いまの限界にとらわれず、未来の自分を信じて挑戦する稽古を実践する。
■ こちらの記事もあわせて読まれています
- できない自分を責めない。稲盛和夫と合気道に学ぶ「努力」の稽古
- 芽が出ないと焦る前に。松下幸之助と合気道に学ぶ「力を蓄える」稽古
- 「もう若くないから」は限界ではない。中村天風と合気道に学ぶ、生命が輝き続ける「自己向上」の稽古
■ この記事を書くにあたって読み返した本
|
価格:2640円 |


コメント