他人を羨む心を手放す。松下幸之助と合気道に学ぶ、恵みに気づく「感謝」の稽古

合気道の道場には、年齢も職業も、そしてバックグラウンドも異なる様々な人が集まっています。そんな環境で稽古をしていると、ふとした瞬間に他人と自分を比べ、羨(うらや)む心が芽生えてしまうことがあります。

「あの人は長年やっているから、あんなにきれいな技ができるんだ。私ももっと若い頃から始めていればよかった」
「あの人はもともと運動神経がいいから、すぐにコツを掴めるんだ。運動が苦手な自分がもどかしい」
「学生時代から合気道部で毎日稽古していた人は、技の習得も段位の上がり方も早い。自分も部活をやっておけばよかった」

上手な人や恵まれた環境にいる人を見るたびに、自分には「ない」ものばかりを数え上げ、勝手に落ち込んでしまう。
このような他者を羨み、そねむ感情は、武道に限らず、仕事や人生のあらゆる場面で私たちの心を苦しめる一因になります。

目次

人は自分の「恵み」には気づかない

他人の芝生は青く見えると言いますが、私たちは他人の持っているものを過大に良いものと見てしまう一方で、自分がすでに持っているものに対しては驚くほど鈍感です。

松下幸之助氏は、著書『道をひらく』の中で、こうした人間の性質について次のように語っています。

人間というものはまことに勝手なもので、他人をうらやみ、そねむことがあっても、自分がどんなに恵まれた境遇になるか、ということには案外、気のつかないことが多い。
(松下幸之助『道をひらく』より)

「もっと早く始めていれば」「もっと才能があれば」と過去や環境を嘆いたところで、今さら変えることはできません。そこに執着している時間は、自ら不幸を作り出しているのと同じです。

視点を変えなければならないのです。
「ない」ものを数えるのをやめ、自分が今「ある」もの、いかに恵まれた境遇にいるかという事実に目を向けること。これが、心を穏やかに保つための第一歩です。

すでに手の中にある「奇跡」に気づく

他人を羨む心が出てきた時、私は自分自身にこう言い聞かせるようにしています。
そもそも、自分が合気道という武道に出会えたこと自体が、とてつもない幸運ではないか、と。

世の中には数多くの趣味や職業がありますが、その中で「自分に合う」と心から思えるものに出会える確率は決して高くありません。

通える場所に稽古場があることのありがたさ。
指導してくれる師範がいること。
共に汗を流し、技をかけ合う稽古仲間がいること。
もっと言えば、植芝盛平翁が合気道を創設した後の時代に生まれ、こうして合気道という武道を体系的に稽古できること自体が、一つの奇跡です。

他人がすべて自分より優れているように見え、自分には何もないように思える日もあります。
それでも、「自分には心から好きだと思えるものがある」。その事実だけでも、人生は十分に恵まれているのです。

幸せの源泉は「自得」にある

ないものを嘆くのをやめ、今あるものに深く感謝する。
そのことを自ら納得し深く悟った時、つまり自得した時にはじめて、心の中から焦りや嫉妬がスッと消え去り、静かな喜びが湧き上がってきます。

他人と比べて勝った負けたと一喜一憂するのではなく、ただ目の前にある道着に袖を通し、今日も道場に通える喜びを見つめる。
その感謝の心を持ち続けることが、人生を豊かに生きるための「幸せの源泉」なのです。

今日の稽古

他人を羨み、自分の足りないものばかり気になった時、自分にこう語りかける。
「自分がすでに手にしている恵みに気づかないのか」と。

好きだと思えるものに出会え、打ち込める環境がある。それだけで十分に幸せなことだ。
今日も私は、他人と比べるエゴを手放し、今ある環境に深く感謝する稽古を実践する。

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感想(215件)



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この記事を書いた人

こんにちは。
合気道のまさです。

「本を読むだけで人生は変わる!」をモットーに名著を紹介しています。

私自身、稲盛和夫さんや中村天風さんなどの本を「稽古」のように繰り返し読んだことで、その思想や哲学を、頭だけでなく無意識のレベルで身につけることができました。

このブログでは、名著のエッセンスを、合気道の身体感覚を交えながらわかりやすく解説しています。

私と一緒に、人生を切り拓く稽古を始めませんか。

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