「新しい環境や、変化が大きくて心が追いつかない」
「努力を続けているのに、成長している実感がなくて無力感を覚える」
時代の変化のスピードが速まり、身の回りの環境が激変していく中で、私たちは強い不安や孤独感を抱くことがあります。
「このままでいいのだろうか」と自信が揺らぐようなとき、私たちはどのようにして自分の軸を保ち、前に進めばよいのでしょうか。
今回は、松下幸之助氏が説く「変わることを恐れない姿勢」と、合気道の地道な稽古の中で見えてきた「生成発展の理」についてお話しします。
すべては発展への理に立っている
「経営の神様」松下幸之助氏は、激変する時代を生きる人々に向けて、著書『続・道をひらく』の中で次のように述べています。
激動のこのとき、激変のこの時代、変わることを恐れてはならない。すべてが発展への理に立つのである。この時にこそ、すべてのものに幸あれ。
(松下幸之助『続・道をひらく』より)
世の中が激しく変わるとき、私たちはつい現状維持に安心感を覚え、変わることを恐れてしまいがちです。
しかし松下氏は、「すべての変化は、本質的に『発展』へと向かう自然の理に基づいている」と説きます。
一見すると混乱や痛みを伴う変化であっても、それはより良い未来へと向かうための必要なプロセスに他なりません。
だからこそ松下氏のように、恐れることなく変化を受け入れ、その激動の時代に関わるすべての人々の幸せを願う心の余裕を持ちたいものです。
最初は誰もが混乱し、動けない
この「変化を恐れず、発展の理を信じる」という心のあり方は、合気道の道場に一歩足を踏み入れたときの感覚と深く結びついています。
合気道の身体の動かし方や物事の捉え方は、私たちが日常生活で使っているものとは全く異なります。
腕力に頼らず、相手の力と調和し、気を結びながら、しなやかに体(たい)で捌く動き──。
そのため、初心者の頃は誰しも、心身ともに大きな混乱が生じるものです。
「どうしてもあの身体の動きができない」「頭では分かっても、考え方が体感として理解できない」と、もどかしさを感じることも少なくありません。
しかし、そこで諦めることなく、恐れず素直に稽古を重ねていくことが何より大切です。
なかなか目に見える変化が現れず、挫けそうになる日もあるかもしれません。
それでも、道場で地道に稽古に打ち込み続ける。
すると、たとえ自分自身では明確な自覚がなかったとしても、その愚直な積み重ねによって、私たちの心身は確実に成長しているのです。
目先の損得ではなく、より良いもの、より高い境地に向かって、私たちは確実に道を歩んでいます。
孤独な過程の苦しささえも、幸福である
成長への道は、決して華やかなものとは限りません。
時には、誰も自分の努力を見てくれていないような深い孤独を感じることもあるでしょう。
どれだけ稽古を重ねても目に見える効果が実感できず、圧倒的な無力感に襲われることもあるかもしれません。
しかし、惰性に流されることなく、技の習得と人格の完成を目指してただ一途に稽古に打ち込む。
実は、その「過程における苦しさや葛藤」のなかにこそ、人間としての本当の幸福が息づいているのです。
もがいている瞬間こそが、私たちの魂が最も磨かれ、自分軸が整いつつあるのです。
変化を恐れず、歩みを止めないこと。
その一歩一歩が、私たちの人生をより豊かで揺るぎないものへと変えていきます。
今日の稽古
新しい変化を前にして、現状維持に逃げ込んでいないか。
成果が見えない焦りから、地道な努力を投げ出しそうになっていないか。
環境の変化に戸惑いそうな時、自分にこう語りかける。
「変化を恐れず、成長の過程を味わおう」と。
華やかさはなくとも、自然の理を信じて一歩ずつ進む。
今日も私は、惰性を手放し、人格の完成を歩む稽古を実践する。
「激動の時代をともに歩む、すべてのものに幸あれ」
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