慢心を捨て初心に戻る。稲盛和夫と合気道に学ぶ「自律」の稽古

「最近、仕事である程度成果が出せるようになってきた」
「後輩や部下も増えて、自分のやり方に自信がついてきた」

仕事やプロジェクトに慣れ、周囲から少しずつ認められ始める時期。
それは非常に嬉しいものですが、同時に人間関係において最も危うい「落とし穴」が潜んでいる時期でもあります。

知らず知らずのうちに初心を忘れ、周囲に対して傲慢で偉そうな態度を取ってしまってはいないでしょうか。

目次

人格はつねに変化するものである

稲盛和夫氏は、著書『アメーバ経営』の中で、リーダーが持つべき「人格の維持」の難しさについて次のように警鐘を鳴らしています。

私は常々、リーダーとは、全き人格者でなければならないと語っている。人格というものは、つねに変化するものである。人は、成功してちやほやされれば、高慢になり、自分を見失うものである。つねに自らを律し、研鑽を積んでいなければ、高潔な人格というのは維持できない。あらゆるリーダーは、集団を正しい方向に導くため、能力があり、仕事ができるだけでなく、自己研鑽に努め、心を高め、心を磨き、すばらしい人格を持った人にならなければならない。
(稲盛和夫『アメーバ経営』より)

「人格はつねに変化するものである」
これまでは謙虚で素晴らしい人だったとしても、少しの成功や周囲の称賛によって、人は高慢になり、自分を見失ってしまうと稲盛氏は説きます。

仕事ができる能力以上に、つねに自らを律し、心を磨き続ける「自己研鑽」こそが、リーダーに求められる条件なのです。

茶帯(中堅)が陥る「過信」という罠

この「少し動けるようになった時の慢心」は、合気道の稽古でも顔を出してくる時があります。

白帯から稽古を積み重ね、茶帯(中堅)になる頃には、ある程度合気道の身体の動きができるようになってきて、自分の中に少しずつ自信がつき始めます。
たまに基本技がパシッと綺麗に決まると、「自分もずいぶん上手くなった」と嬉しくなるものです。

しかし、その自信が「過信」に変わると、恐ろしい変化が起こります。
「俺は合気道をやっているんだ」「これでいつでも技をかけられる」と天狗になり、「基本はもう分かったから、そろそろ実戦で試してみたい」などと考えるようになるのです。

さらに良くないのは、道場の白帯(初心者)の人に対して、自分もまだ未熟であるにもかかわらず、どこか偉そうに指導を始めてしまうことです。
初心を忘れ、謙虚さを失った心からは、しなやかさが消え失せます。
技も表面的な形だけの動きになり、相手とぶつかってしまいます。

それなのに、過信している本人はその事実に気づけず、先輩からの助言にも耳を傾けなくなってしまいます。
これでは成長が完全に止まるだけでなく、周囲からの尊敬も一気に失ってしまいます。

本当の敵は、目の前の相手ではない

本来、武道の道とはそのようなものではありません。

本当に強い人は、どんなに段位が上がろうとも、常に謙虚に学ぶ姿勢を崩さず、真剣に目の前の相手と向き合います。
お互いの稽古の中で、ともに高め合い、ともに成長していくプロセスそのものを大切にするのです。

合気道において、「敵」は目の前の相手ではありません。
技が綺麗に決まって天狗になりかける心、地味な基本を軽視してしまう心、つまり「自分自身」こそが最大の敵なのです。

自分自身の傲慢さに気づき、謙虚な姿勢に転換すること。
相手だけではなく自分に対しても、常に調和して争わない、しなやかな心を作り上げること。

これこそが、稲盛氏のいう「心を高め、心を磨く」ということであり、武道を通じて人格を形成していく道となるのです。

今日の稽古

少し仕事ができるようになり、周囲への謙虚さや初心を忘れていないか。
本当の敵は目の前の相手ではなく、慢心しそうになる自分自身だ。

自分の成果に自惚れ、偉そうな態度を取りそうになった時、自分にこう語りかける。
「常に謙虚に、自らを律しよう」と。

他者と争うのではなく、自分自身の弱さと向き合い、しなやかに成長する。
今日も私は、過信を手放し、初心に帰って謙虚に向き合う稽古を実践する。

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この記事を書いた人

こんにちは。
合気道のまさです。

「本を読むだけで人生は変わる!」をモットーに名著を紹介しています。

私自身、稲盛和夫さんや中村天風さんなどの本を「稽古」のように繰り返し読んだことで、その思想や哲学を、頭だけでなく無意識のレベルで身につけることができました。

このブログでは、名著のエッセンスを、合気道の身体感覚を交えながらわかりやすく解説しています。

私と一緒に、人生を切り拓く稽古を始めませんか。

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