「突然のトラブルに頭が真っ白になり、何もできなかった」
「大事なプレゼンで予想外の質問が来た」……。
私たちは、予期せぬ困難やトラブルに直面したとき、うまく対応できずに傷ついてしまうことがあります。そして「もっとうまく立ち回れたら」と後悔する。
しかし、いざという瞬間に身体や心が動かないのは、才能がないからではありません。単に「平時の準備」が足りていないだけなのです。
今日は、松下幸之助氏が説く「人生の傘」と、合気道における「無意識に動けるまでの稽古」から、いざという時の危機を回避し、しなやかに自分を守るための準備についてお話しします。
松下幸之助が説く「雨の日の教え」
松下幸之助氏は、著書『道をひらく』の中で、人生における準備の重要性を「傘」に例えてこう語っています。
雨の日に傘がないのは、天気の時に油断して、その用意をしなかったからだ。雨にぬれて、はじめて傘の必要を知る。そして次の雨にはぬれないように考える。雨があがれば、何をおいても傘の用意をしようと決意する。これもやはり、人生の一つの教えである。
(松下幸之助『道をひらく』より)
仕事のトラブル、人間関係のこじれ、突然の健康問題。
現代の「雨」は、突然やってきて予測が困難です。だからこそ、雨が降ってから「傘がない」と慌てても遅いのです。
もう濡れて冷たい思いをしたくないのなら、晴れている今日、天気が良くて油断しそうな時にこそ、次の雨に備えて傘を用意しておかなければなりません。
これは、人生に起こるあらゆるトラブルに対するシンプルで力強い教えなのです。
いざという時、身体は「無意識レベル」でしか動かない
この「傘の準備」がいかに大切かは、合気道の稽古でも感じることがあります。
日常生活で、転んで大きなケガをしてしまったり、人に絡まれて暴力をふるわれたりすることもあります。いざそうなった時に身を守る対応ができないのは、平時からの稽古が足りていないからです。
合気道では、転んでもケガをしないように何度も「受け身」をとり、危険な人に絡まれないような安全な「間合い」の感覚を身につけます。もし不意に手を出されそうになっても、スーッと身をかわして即座に逃げることができます。
しかし、これらの動きは「頭で理解した」だけでは、いざという瞬間に使い物になりません。自然と体が動くまで、無意識レベルで身体が反応できるようになるまで、繰り返し繰り返し稽古する。そうしてはじめて、一瞬の危機に対して身体が勝手に反応してくれるのです。
最高の準備は、危機を「未然に回避する」こと
いざというトラブルは、来ないに越したことはありません。しかし、人生に「絶対安全」はありません。
ただし、日々の稽古(準備)を地道に続けていると、ある境地に達します。
それは、いざという時の対処法だけでなく、「いざという事態そのものを回避する術」が身につくということです。
相手の不穏な「気」を察知して、因縁をつけられる前にスッとその場を離れる。
無用なトラブルを生むような、近すぎる「間合い」に最初から入らない。
攻撃的な言葉を向けられても、真正面から受けずに、ふっとしなやかに「いなす」。
これこそが、合気道が目指す究極の危機回避であり、争わない武道の真骨頂なのです。
今日の稽古
平穏な一日だからこそ、油断しないよう自分に語りかける。
「晴れている今のうちに、人生の傘を準備しておこう」
今日も私は、トラブルを未然にしなやかに回避する「準備」の稽古を続ける。
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