「想定外のトラブルが起きたとき、ついパニックになって慌ててしまう」
「日々流れてくる暗いニュースに接して、いつも不安になる」
日々のビジネスや慌ただしい暮らしの中で、私たちは時に、自分の心を揺さぶるような予期せぬ事態に直面します。
そんな時、心に余裕をなくし、焦って間違った判断を下してしまうこともあります。
そんな不安定な世の中で、私たちが自分を見失わずに、しっかりと前を向いて進むためには、一体どのような心のあり方が必要なのでしょうか。
今回は、松下幸之助氏が説く「冷静さという美徳の重要性」と、合気道の地道な稽古を通じて身につく「慌てない心構え」についてお話しします。
乱れた世相にこそ求められる、第一番の美徳
松下幸之助氏は、私たちが心に備えるべき大切な姿勢について、著書『続・道をひらく』の中で次のように述べています。
人間についての美徳がいろいろ言われるけれど、冷静もまた大切な美徳である。とくにこんにちのような乱れた世相になってきたら、これが人間の第一番の美徳として強く求められてくる。お互いにこの徳を、どこまで高めることができるか。大事な時である。
(松下幸之助『続・道をひらく』より)
日常が平和で安定しているときには、私たちは冷静さをそれほど意識することはありません。
しかし、社会が乱れ、先行きが見えない時代になればなるほど、周囲の空気に流されずに物事をありのままに見つめる「冷静さ」が、強力な美徳になると松下氏は説きます。
お互いにこの冷静さという徳を、どこまで高めることができるか。
今こそ、それが必要な時だと語っています。
「慌てない、不安にならない」を支える地道な修練
この「どんな状況でも慌てず、常に冷静に心を保つ」という姿勢は、合気道で日々繰り返される修練そのものです。
いざという時に慌てない、不安にならない。
そのためには、やはり日頃の稽古の積み重ねが欠かせません。
何一つ準備ができていない状態では、いざという危急の瞬間に、人間の身体はすくんで動かなくなってしまうからです。
道場で地道に、そして懸命に稽古を積み重ねておく。
すると、不思議なほど心が慌てなくなっていきます。
相手との適切な「間合い」が自然と身体に染み込み、どのような攻撃が来ても捌けるという心構えができあがっているからです。
たとえ修羅場のような状況になっても、ふっと一呼吸置いて、常に冷静な心を保つことができるようになります。
合気道の稽古では、本当にたくさんのパターンの攻撃に備えて、繰り返し技を練り上げていきます。
そのため、もしそれ以外の未知の形や、想定外の攻撃であったとしても、基本の動作が身についていれば、自然と応用が利くようになります。
この、身体の奥底から湧き上がる「静かな自信」が、どんな時でも慌てない冷静さを身につける秘訣なのです。
静かな自信が、対立を無力化する
ビジネスの現場や日々の人間関係においても、この冷静さの理合いは同じです。
急なトラブルや理不尽な言動に直面したとき、こちらが感情的になって慌てたり、不安を露わにしたりすれば、問題はさらにこじれ、悩みは深まるばかりです。
本当に必要なのは、日頃から自分の仕事や役割に対して誠実に準備を重ね、基本動作に習熟し、いつ何が起きても大丈夫という静かな自信を内側に持っておくことです。
周囲がどれほど乱れ、焦っていたとしても、自分はしっかりと間合いを保ち、冷静に状況を見ることができる。
自分がしなやかに心を整えておくことで、目の前のトラブルに対しても、最も適切な一手を打つことができるようになります。
自らの心身を深く修練し、小手先のテクニックや周囲の雑音に惑わされず、「冷静というじぶん軸」を真っ直ぐに保ち続けること。
その日頃からの修行の姿勢が、結果としてあなた自身を守り、どんな激動の時代であっても素晴らしい道を切り拓いていく確かな力となるのです。
今日の稽古
予期せぬトラブルを前に、つい慌ててしまっていないか。
いざという時に不安で立ちすくんでいないか。
心がざわざわと波立ちそうになった時、自分にこう語りかける。
「今こそ冷静になろう」と。
感情の乱れを手放し、静かな自信を胸に一歩踏み出す。
今日も私は、慌てずに「冷静」を保つ稽古を続けていく。
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■ この記事を書くにあたって読み返した本
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